藪中教授による英文和訳 研究プロフィール
ALPは,学習プロセスを評価するためのツールです.
ツール使用学習は,人間の行動を発達させる上で不可欠なものであり,様々な活動の中でツールを使用することを含みます.ツール使用学習プロセスの知識があれば,これからツールの使い方を学ぶ人や再学習する人に対して,より効果的に学習を促進することができます.このガイドでは,ALP(Assessment of Learning Process)のプロセスベースの性質,普遍的な学習プロセスがどのように発見されたか,そしてALPツールの適応原則について説明しています.ALPインストゥルメントは,子どもや成人が学習を開始する際の出発点を特定するために使用されます.学習者がツール使用の理解プロセスのどこにいるのかを把握することで,どのような促通戦略が最も効果的に学習を促進できるのかを導き出すことが可能になります.
ALPツール(汎用版,バージョン2.0,およびAAC向けALP)の適用ガイド
このガイドは,汎用版ALP向けに作成されましたが,ALPツールのバージョン2.0およびAAC(Augmentative and Alternative Communication:拡張代替コミュニケーション)向けALPにも同じ適用原則が当てはまります.ガイドの初版は2023年7月18日に公開され,継続的に改良・更新されています.
第2版は2024年5月1日に公開されました.
汎用版ALPツール(学習プロセスの評価)
汎用版ALPツールは,作業遂行に関わるあらゆる種類のツール使用に適用できます.これには,シンプルなツールから複雑なツールまで,手に持って使うツール,コミュニケーション機器や移動機器およびその付属品などの使用が含まれます.ALPツールは,電動移動機器を使った介入分野において厳密な分析的グラウンデッド・セオリー過程を通じて開発されました.この学習プロセスは普遍的なものであり,ツール使用を伴うあらゆる作業遂行の学習評価に活用できます.
- ALPインストゥルメントは,ツール使用者の現在の遂行状況とツール使用理解度を評価するためのツールです.
- ALP促通戦略は,学習プロセスの進展を促進するためのアイデアを提供します.
ツール使用の学習を可能にするために,ALPインストゥルメントと促通戦略は相互に連携して使用されます.この考え方の核心は,ツール使用者の現在の学習段階を理解することで,ツール使用の練習場面で「ちょうどよい課題」を設定できるという点にあります.
汎用版ALPツール,(インストゥルメントと促進戦略)
ALPツール(電動移動機器使用学習の評価)
- ALP評価は,電動車いす/乗物での使用者の現在の遂行状態の評価のために使用されます.
- ALP促通戦略は,学習過程における進歩を促す方法に関するアイデアを提供します.
この評価と促通戦略は,電動乗物の使用ができるようになるために,相伴って使用されます.
ALP評価と促通戦略を使うことによって,電動車いす/乗物の練習現場において,現在の学習の段階を理解し,「ちょうど良い挑戦」を提供できます.
ここから日本語訳ALPツールをダウンロードできます
ALPツール(ALP評価と促通戦略)ALP評価 2.0 ALP促通戦略 2.0
Nilsson L, Durkin J. Assessment of learning powered mobility use—Applying grounded theory to occupational performance. J Rehabil Res Dev. 2014;51(6):963–74.
ここから文献をダウンロードできます Assessment-of-learning-powered-mobility-use Appendix 1 instrument Appendix 2 facilitating strategies
AAC(Augmentative and Alternative Communication:拡張代替コミュニケーション)向けALP( Assessment of Learning Process:学習プロセスの評価)
2名の言語聴覚士との共同作業により,元のALPツール(電動移動機器使用学習の評価)バージョン2.0をAAC分野用に改良し,AACのための様々な機器の使用方法の学習に適用できるようしました.私たちの目的は,AACのためのアクセス方法の分野で働く臨床家が活用できる,信頼性の高い評価ツールを開発することでした.
AAC向けALPの詳細情報はこちら: https://www.alpforaac.com/
私たちの共同研究は,2016年にシカゴで開催されたACRM会議で始まりました.2人の言語聴覚士は米国に在住し,仕事をしています.両者ともAAC(拡張代替コミュニケーション)の分野で長年の経験を有し,多くの臨床家との広範なネットワークを構築してきました.Sarah WildsはPrentke Romish Company(PRC)– Saltilloに所属し,Chip Clarkeは同社のコンサルタントを務めています.
この適応の段階において,私たちはAAC用ALPのプレゼンテーションが行われた会議やワークショップで配布されたハンドアウトを共有しています.
進行中の共同研究に関する詳細な情報は,私のResearchGateのプロフィールをご覧いただくことでご確認いただけます.